原産国のスタンダード2

ラブラドールのスタンダードについて

2002年10月発行の会報10号より

イギリスのスタンダード(1986年版)続き

Eyes・Ears and Mouth


Eyes: Medium size expressing Intelligence and good temper, brown or hazel.

ラブラドールの目の大きさは、中くらいで知性と性質の良さを表現しています。イギリスのスタンダードで定められているラブラドールの目の色は茶色または薄茶色です。

目の色で人に与える印象はかなり違って来ます。そしてこの目の色のバリエーションについては各国、各ブリーダー間でも多くの議論を呼ぶところです。また、アメリカのスタンダードとイギリスのスタンダードでは目の色についての表記が異なっています。一例を挙げるとアメリカでは、チョコレートラブラドールには「薄茶色の目」が認められ、イエローとブラックのラブラドールは茶色であることを求めています。1994年に改定されたスタンダード以前では黒い目と黄色い目も容認されていたようで、現在では黒い目と黄色い目は望ましくないと表記されています。

「黒い目のラブラドールは、目に穴が開いたようで、表現が乏しいのです。一方で、明るい色の目はきつい印象を与え、見た目に異常な感じを受けます。」(The Breed Standard by Ms J.Prichard /The Ultimate Labrador Retreiver 1994年刊)
「一番重要なのは優しさを表現していることです。色を正確に表現するのは難しいです。ミルクがかったチョコレート色から非常に濃い茶色まであるでしょう。黒い目はごくまれに出現しますが、これは正しくありません。きつい印象や時には悪意に満ちた印象を与えます。明るすぎたり、黄色い目は黒よりも出現しやすいですが、これも正しくはなく、表現を損ないます。黄色だったのが薄茶色になったという例については何度か耳にしました。イエローラブラドールがより濃い色の目を求められるのは、きつい表現に見えない理由からだとしても、黒い目については弁護することはできません。」(Labadors by Mrs M. Kinsella 1972年刊)


Ears: Not large or heavy, hanging close to the head and set rather far back,

耳は大き過ぎたり重すぎる印象を与えません。頭部にぴったりと付き、垂れ下がっていて、より後ろの方に位置しています。

ラブラドールの耳がもう少し高い位置についていたら、テリアのような雰囲気を与えます。頭部のバランスにおいて、耳が大きすぎるとうっとおしい感じがするものです。イエローラブラドールが認められた当時には、バランス的に耳の大きな犬が多く見かけられました。

耳についても、その位置や形によっては、頭部の記述と同じように、別の犬種を思い起こさせるようなものはスタンダード上では正しくないと言っているのです。


Mouth: Jaws and teeth strong, with perfect regular and complete scissor bite, i.e. the upper teeth closely overlapping the lower teeth and set square to the jaws.

Jaws: 下あご
scissor bite: シザーバイト、噛み合わせがはさみの様にきちんと合わさっていること
overlapping: 〜の上に重なる

ガンドッグとしてのラブラドールは、レトリーブ(運搬)してくる際には、鳥に傷がつかないように非常に優しくくわえます。力強い顎としっかりした、歯並びのよい完ぺきなシザーバイトである歯があって初めて、柔らかく物をくわえることができるのです。

それをさらに詳しく説明していますが、上の歯が下の歯に覆いかぶさる状態がシザーバイトであり、だからこそ、ラブラドールの顎は尖っていなくて真四角であるのです。

噛み合わせには他に、レベルバイト(上下の歯の先端が合わさった状態。きっちりとはまっていない)があり、これはアメリカでは望ましくないとされてはいても、まだ容認されているようです。

顎に関しては、アンダーショット(下あごが出ている)、オーバーショット(上あごが出ている)は噛み合わせ以前の問題とされ、以前のスタンダード(1950年版)では「認められないもの」として明らかな表記がありましたが、現在では表記以前の問題とされているようです。

イギリスのスタンダードには「欠歯」についての表記はありません。常識的な範囲での欠歯は認められていると考えられます。

ガンドッグとして、性質とともに、優しく柔らかくレトリーブをこなすことができる「口」が大切なのです。バイト(噛み合わせ)が悪ければどこか別の場所に力が入ってしまうことになり、結果として「柔らかい口」を維持することは難しくなってしまうのでしょう。

ネックについて


Neck: Clean,strong,powerful,set into well-placed shoulders.

set into:
well-placed:良い位置にある

この場合の「clean」というのは、「すっきりした」と解釈することをイギリスのブリーダーの方から伺いました。ではすっきりしたネックとはどんなものでしょう。余分な肉のたるみなどがなく、適切な長さで、馬のような首筋を想像していただけるとわかりやすいと思います。肩の付き位置については、ラブラドールがガンドッグとして獲物を口に銜えて移動する際の獲物の重みが首に負担をかけないような付き位置が望ましいとされています。

それを角度で言えば、肩甲骨と上腕骨の角度が90度であること。すると前脚が前によく伸びてスムーズな動きをすることができます。やや広めの105度あたりもこの犬種にはよく見られる肩の角度です。肩甲骨が立ってきて、130度という開きになると、肩甲骨自体の長さが短くなり、前脚のスムーズな動きを妨げる事になります。また首が不自然に持ち上がってしまうので、獲物を銜えた時に肩への負担がかかりやすいネックとなってしまいます。

つまり、ネックはすっきりしていて、丈夫で力強く、正しい位置に付いている肩に収まっているという感じです。

ボディについて


Body: Chest of good width and depth,with well-sprung barrel ribs. Level topline. Loins wide,short coupled and strong.

chest: 胸、胸郭
well-sprung: 丸々とした
barrel ribs: 樽状な胸郭(肋骨郭)
level: 水平な、平らな
loin: 腰部

胸郭は、ラブラドールの作業性能にとって必要な十分に発達した心臓や肺に相応しい広さ、深さが必要です。しかし、ラブラドールにスピードを要求していくと、胸郭は幅、奥行きともに不足したものになっていくことはよく知られています。

トップラインとは、背中のラインの事を指し、キ甲から肋骨を経て、尻部に至るラインの事です。ラブラドールのトップラインはフラット(扁平)ではなく、レベル(水平)で力強い事が大切です。このことは水中の作業をこなす全てのガンドッグの動きにとってとても重要です。尾の付きが下であったり、お尻のラインが斜めに落ちたり、丸く落ちた状態であると、トップラインも水平ではなくなってしまいます。

腰部もまた、幅があり、胴が短く、力強くなくてはなりません。これは作業の負担を軽くするためです。お腹が巻き上がっていたり、薄いものはスタンダードでは求められていないのです。ボディ全体に求められている事はガンドッグとして無駄なく作業が出来るようなトータルなバランスなのです。