原産国のスタンダード

ラブラドールのスタンダードについて

2002年6月発行の会報9号、2002年10月発行の会報10号より

イギリスのスタンダード(1986年版)


スタンダードについて考えるに当たり、英語の短い単語の中にはいろいろな意味が含まれている為、ぴったりな日本語をあてがう事が私にはできません。また一端日本語の単語に置き換えてしまうと、日本語のイメージが頭にこびりついてしまう事を危惧し、ここでは、一語一語がどのような意味を持っているのかを一緒に考えた上で全体像が掴めたらいいと思っています。


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☆General Appearance☆


Strongly built, short-coupled, very active;broad in skull;broad and deep through chest and ribs;broad and strong over loins and hindquarters.

General Appearance:一般外貌
Strongly:丈夫に;強く、強烈に(主張することなど)
broad:1<幅が>広い、広々とした、(wideが距離に重きを置くのに対し、broadは表面の広がり[幅]を強調する)
skull:頭蓋(骨)、頭骨;頭、脳天;頭
loin:腰、腰部
hindquarterts:《四足獣の》後躯

「Strongly built(訳:体格ががっしりしている)」という概念は、常にラブラドールレトリバーを作業犬として考えていた人たちによって作成された、1916年の最初の犬種スタンダード以来変わらない表現です。当時のスタンダードは、フラットコーテッドレトリバーやウェイビーコーテッドレトリバーとの違いをよりはっきりさせる目的もありました(それ以前は「レトリバー」という範疇でひとからげでした)。

「short-coupled」とは、日本語でも「ショートカプルド」とそのまま使われます。胴体が短いということですが、イメージとしては程よいバランスで長すぎないという事です。「very active」は、活動的である、意欲的であることを指し、決して「hyperactive」(訳:興奮しやすい)ではないと多くのブリーダーは言っています。

頭の幅、胸からろっ骨に至るライン、そして腰部から後肢までについても「broad」という単語を好んで使用していますが、すべて十分な幅で広がりがあることを表現しています。この言葉は1950年の改訂版から登場しました。(それ以前の表記には、「wide」が使われていました)体全体のイメージとして、幅が広く、しっかりと固い印象を与えるのがラブラドールである、と言っているのです。

「...しかし、太った犬ではありません。....私たちは、この犬種のスタンダードを作成した人達が、ラブラドールを作業犬として扱っていた事を忘れてはなりません。そういう犬種を選び、そしてブリーディングをしていくなら、たとえ自分の犬がフィールドでレトリーブするという役割を十分に果たすチャンスに恵まれないとしても、この犬種の作業犬としての潜在能力を無視してはならないのです。」(Labrador Retrievers Today by Carol Coode)

☆Characteristics☆


Good Tempered,very agile. Excellent nose,soft mouth;keen love of water. Adaptable, devoted companion.

Characteristics:特質、特徴、特性、特色
agile:《動作などが》敏捷な、機敏な、身の軽い
keen:〜に夢中な、熱中した
adaptable:適合させうる、順応性のある、融通のきく〈人・心・気質〉
devoted:献身的な、誓った、熱心な、傾倒した
companion:仲間、相手、話し相手、気の合った友

「Good tempered」は、ラブラドールの気質のことを表現していて、落ち着いた気質、と訳せます。

「agile」については、いくつかに意見が分かれるという事を耳にしたことがあります。「敏捷な」という意味があるこの言葉を受けて、身が軽いという事を体重に置き換えて解釈する人もいるそうですが、通常の理解の範囲では、動きが良い事を指しています。

「excellent nose(直訳:優れた鼻)」でなければ、鼻を使って獲物を探り当てる事ができませんし、「soft mouth(直訳:柔らかい口)」でなければ獲物を強くくわえすぎて、痛めてしまうかもしれません。これらはガンドックとしてのラブラドールには絶対に欠かせないものです。

水の中での運搬を得意とするラブラドールにとって、水は大好きなものであって、嫌いでは困ってしまいます。しかし初めてでもさっさと水に飛び込むような果敢な性格のラブラドールばかりではなく、徐々に水に入ることを学んでいくのが一般的です。

常に人と一緒に行動するラブラドールは、順応性に富み、献身的なパートナーであると解釈ができるのです。私たちラブラドールファンシャーの多くが、ラブラドールのこうした部分に魅了され続けているといっても過言ではないかもしれません。

ラブラドールレトリバーの気質は落ち着いていて、敏捷である。鼻が利き、獲物をとても優しく銜える口を持っている。水が大好きで、人間と非常にうまくやっていける献身的な性格をしているということですね。

ラブラドールにとって「Temperament 気質」は一番大切なものであると、多くのブリーダーは言っています。それゆえ、自らのブリーディングプログラムの中で一番深く求めるのがこの「Temperament」であるのです。他の犬種と比較してみたとき、ラブラドールがラブラドールらしい意味がここにあるかもしれませんね。

☆Temperament☆

Intelligent, keen and biddable,with a strong will to please.Kindly nature, with no trace of aggression or undue shyness.

Intelligent: 知能の高い、知力の優れた、利口な物覚えのいい、知的な、理にかなった
keen: (感覚が)鋭い、鋭利な、熱心な、熱中して、抜け目のない、切れる、はつらつとした
biddable:柔軟な、素直な、
will: 意志(力)、願望
nature: 性質、気質、本質、素質
aggression: 攻撃性、好戦的な性質
undue: 過度の、必要以上の、

気質について


知力、鋭い感覚、そして忍耐を兼ね備えたラブラドール。大切なのはこれらのことが全て、人間を喜ばせたいという強い意志あるいは願いから来ているもの(with a strong will to please) だということですね。本質が温和なので、攻撃的な部分が全くなく、極度のシャイ(臆病さ)も持ち合わせていないのがラブラドールの気質なのです。

☆Head and Skull☆


Skull broad with defined stop; clean cut without fleshy cheeks. Jaws of medium length, powerful not snipey. Nose wide, nostrils well-developed.

skull: 頭 頭蓋
broad: 広い、広々とした、幅広い、幅がある(wideと比べて広さの広がりを想起)
defined: 明確な 確定した
fleshy: 肉厚の、肉質の having a soft, thick inner part
jaw: 顎
powerful: 力強い、強力な physically strong
snipe: [鳥類]シギ
wide: 幅の広い、幅がある、ゆったりとした

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頭部と頭蓋


手のひらで頭のてっぺんを上から触ってみたとき、真ん中から前後左右に頭蓋が広がっている感じです。それが「頭蓋は広く」に当たります。ストップは頭から鼻にかけての部分ですが、明確にわかるストップというのは、真横から見た時に見てわかる感じです。平らな下り坂になっているのはストップが足りません。

頬の感じがCleanというのは、肉厚でぼたぼたした感じではなく、すっきりしているということです。顎はほどよい長さで、力強く、スニッピー(イメージとしては他犬種のウィペットやアフガン等の顎を想像してください)ではないこと。大抵その長さについては、頭蓋の幅と同じくらいか少し長めだと思ってください。

Mansergh犬舎の故メアリーロズリンウィリアムスさんの有名な言葉に

「A typical Labrador looks like a Labrador and nothing else. If he reminds you of any other breed then he is not typical.」
(直訳:典型的なラブラドールはラブラドールらしく、それ以外ではありえません。もしも他の犬種を思い起こさせるような部分があるとすれば、その犬は典型的なラブラドールではありません)


というものがあります。この言葉は折りに触れ多くのブリーダーに引用されてきました。ラブラドールの頭部が幅広すぎ、詰まりすぎて、ロットワイラーを思い起こさせたり、または幅がなく、細長くてフォックスハウンドやウィペットのように見えたら、それはラブラドールに求められている頭部とは言えないということなのです。

nostrils:鼻孔
nose:鼻

鼻の部分は広く、マズルの幅とバランスがとれる広さであるべきだという意味を含んでいます。言い換えれば、鼻はつまみあげられたような形だったり、小さすぎてもいけないということです。

「nostrils well-developed」とは随分すっきりした表現ですが、直訳すると鼻孔がよく発達しているということで、イギリスの方に伺ってみたところ、ラブラドールの優れた嗅覚を発揮するのに相応しい幅があり、鼻の穴も十分な大きさがあるということを簡潔に表現した言葉だということです。